|
|
|
この章では、グラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)を開発する場合に役立つガイドラインを示します。
項 | 説明 |
---|---|
GUIベースのアプリケーション開発プロセスを簡単に説明します(すでにGUIベースのアプリケーションを開発した経験があれば、この項を読み飛ばして、2.1.3項「ユーザー・インタフェースの計画」をお読みください)。 |
|
フォーム作成で考慮する必要のある視覚的効果について解説します。この項では、最初に基本的なForm Builderの専門用語を概説し、標準を実施する手段としてのオブジェクト・ライブラリの重要性を説明した後、各GUIでフォーム・オブジェクトを使用するためのガイドラインを示します。 |
|
レポート・オブジェクトの配置および改ページの発生場所の制御方法を理解するために役立ちます。 |
|
データを図形表示する場合の視覚的な考慮事項をいくつか示します。 |
効果的なGUIの開発プロセスを理解するよりも、そのアプリケーションを使用するユーザーについて理解することが重要です。実際、効果的なアプリケーションを開発するには、そのアプリケーションで実行される作業、作業の実行順序、実行環境、および期待される機能など、ユーザーについて理解する必要があります。
他の多くのアプリケーション開発と同じ方法で行おうとするならば、この方法は、重点を根本的に変更することが必要になるでしょう。アプリケーションの開発では、通常、内側から外側に作成していきます。データソースからコードへ、コードからGUIへと効果的なGUIを開発する場合、これとは逆のプロセスで行わなければなりません。つまり、最初にユーザーと話し合い、次にユーザー特有の業務をサポートするユーザー・インタフェースを設計して、最後にすべての作業を実行する基本となるコード・ベースを作成します。
パッケージされた一連の標準やガイドラインを使用して開発しても、ユーザーのニーズを正確に理解して開発するかわりにはなりません。この章は、ユーザーの特定のグループ専用のインタフェースを独自に作成する場合や、ユーザーについての理解を深めるために役立ちます。
図2-2に示すように、GUI開発のプロセスには4段階の主なステージがあります。
この項の残りの部分は、これらの各ステージを達成するためのガイドラインです。
注意: この章では、GUI開発のあらゆる問題についての対処方法を網羅しているわけではありません。特定のステージでの作業の進め方について詳細を知りたい場合は、図書館またはコンピュータ書籍を扱っている書店で入手できるでしょう。ユーザー要件の定義およびユーザー・フィードバックの収集の情報源としては、『Handbook of Usability Testing』(Jeffrey Rubin著)が特に優れています。
GUI開発の最初のステージでは、ユーザーのニーズおよび現在のアプリケーションから作成可能であるものを判断します。このステージを飛ばして次の設計フェーズに移りたいと思われるかもしれませんが、リスクが大きいので注意が必要です。対象となるユーザーおよび実行したい作業について十分理解していないと、効果的なGUIの作成は事実上不可能です。
ユーザー要件を定義するには
第2のステージでは、ユーザーのニーズを満たすユーザー・インタフェースをインプリメントする方法を計画して文書にします。次のものが含まれます。
一貫性のある一連の開発標準は、あらゆる開発の作業を成功させるために欠かせません。さまざまなGUI要素のレイアウト、使用および動作に関する標準を開発し、実施することで、アプリケーションから独立している部分にも共通のルック&フィールを装備できます。Forms DeveloperおよびReports Developerでは、複数のメカニズムが提供されており、一貫性のある一連の標準を開発できます。
アプリケーションを複数の環境で利用する場合には、各プラットフォームでのさまざまなGUI要素の作成方法、およびプラットフォーム相互の要素の制限事項を理解しておくことが重要です。たとえば、プラットフォーム間でのフォーマットの制限のために、Windows用に作成した対話形式のボタンが小さくなり、Solarisで表示したときに読みにくくなります。プラットフォーム固有の制限事項とそれらに関連した作業のガイドラインの詳細は、第5章「移植性のあるアプリケーションの設計」を参照してください。ユーザー・インタフェースの大きな制限要素となる文字モードの検討事項についても、同じ章を参照してください。
プロトタイプは、ご使用のアプリケーションを使いやすくするための最も効率的な手段です。最も効果的なプロトタイプは、対話的な開発モデルに従って、ストーリーボードで始まり、十分に機能的なアプリケーションで終了します。プロセスは、次の手順のとおりです。
次に、製品発注用のアプリケーションのストーリーボードから3つのパネルの例を示します。
ユーザー・インタフエースの作成を開始するには、事前に十分な時間をかけて概念モデルを開発しておかなければなりません(つまり、ユーザーおよびユーザーが実行する作業を十分理解し、それらの作業がサポートされるダイアログのフローをスムーズに設計しておく必要があります)。この章では、次の3項が、ユーザー・インタフェース要素を慎重に選択する場合に役立ちます。
ペーパー、あるいはForms DeveloperまたはReports Developerで実行されるプロトタイプをすでに開発してある場合は、最初のフェーズで話し合ったユーザーに試験的に実行してもらいます。ユーザー・フィードバックを効果的に収集するには、次のようにします。
注意: ユーザー・インタフェースが適切であれば、開発中のアプリケーションを実際に使用するユーザーのみがコメントを入れることができます。
ユーザーによるプロトタイプのテストが終了し、ユーザーからのフィードバックを収集したら、作成ステージに戻り、フィードバックに従ってユーザー・インタフェースを変更し、変更後にもう一度テストします。要件定義フェーズで定義した目的が達成されるまで、この作業のサイクルを繰り返します。
この項では、Form Builderを使った効果的なGUIの作成方法を説明します。
注意: この項は、欧州中心の観点から記述されています(欧州以外の顧客を対象に開発する場合は、ユーザーの文化的な背景に配慮する必要があります。実際には、ターゲットとなる客層の複数のメンバーに設計内容を見直してもらいます)。
フォームの特定の検討事項を記述する前に、いくつかの基本的なフォームの概念を簡単に紹介します(Form Builderを使用した経験があれば、2.2.2項「フォーム作成のガイドライン」に進んでください)。これらと他のレポートに関連したトピックの詳細は、Report Builderのオンライン・ヘルプまたはForms Developerクイック・ツアーの「Report Builder」の項、あるいはその両方を参照してください。
Form Builderを使用してアプリケーションを作成する場合、モジュールと呼ばれる個々のアプリケーション・コンポーネントを使用して作業します。Form Builderには、次の4種類のモジュールがあります。
モジュールのタイプ | 説明 |
---|---|
Formモジュール |
オブジェクトおよびコード・ルーチンの収集。フォーム・モジュールで定義できるオブジェクトには、ウィンドウ、テキスト項目(フィールド)、チェックボックス、ボタン、警告、値リストおよびトリガーと呼ばれるPL/SQLコードのブロックがあります。 |
メニュー・モジュール |
メニュー(メイン・メニュー・オブジェクトおよび多数のサブメニュー・オブジェクト)の収集およびメニュー項目のコマンド。 |
PL/SQLライブラリ・モジュール |
ユーザー命名プロシージャ、ファンクションおよびアプリケーション内の他のモジュールからコールできるパッケージの収集。 |
オブジェクト・ライブラリ・モジュール |
アプリケーション開発に使用できるオブジェクトの収集。詳細は、表2-1「標準のメカニズム」を参照してください。 |
この章では、PL/SQLライブラリ・モジュールの使用方法は記述していません。このトピックの詳細は、Form Builderのオンライン・ヘルプを参照してください。
簡単に言うと、フォーム(またはフォーム・モジュール)は、データソースに格納された情報へのアクセスができるアプリケーションです。フォームを参照すると、チェックボックスおよびラジオ・グループなどのインタフェース「項目」が表示され、ユーザーはデータソースと対話形式で情報をやりとりすることができます。これらのインタフェース項目は、「ブロック」と呼ばれるコンテナに属しています。図2-4では、Customer ID、First name、Titleなどのフィールドはすべて同じブロックに属しています。
ブロックには、次の2種類があります。データソースとユーザー間のリンクとして使用される「データ・ブロック」と、データソースとは関係付けられていない「制御ブロック」の2種類があります。各データ・ブロックによって、ユーザーはデータソース内の1つの表にあるデータを表示したりアクセスできます。シングル・レコード・ブロックをブロックとして使用して、1回にデータの1行を表示できますが、マルチ・レコード・ブロックをブロックとして使用すると、一度にデータの多数の行を表示できます。図2-4のすべてのフィールドは、シングル・レコード・ブロックです。
「領域」とは、ブロック内の他のブロックと論理グループのフィールドを区切る四角形または線のことです。図2-4では、「Customer Information」フィールドをAccountsのアイコンから区切る四角形が領域です。
「枠」とは、あるブロック内に特定の項目を配置する事前定義済みの方法です。たとえば、図2-4に示すブロックは、マージンおよびオフセット、項目とプロンプト間の距離などが設定された枠によって配置されています。
「ウィンドウ」とは、Form Builderアプリケーションを構成するすべての表示可能なオブジェクトが含まれたコンテナです。シングル・フォームには、任意の数のウィンドウを組み込むことができます。通常、最も単純なフォームでも、それに対応付けられたウィンドウが複数あります。次のタイプのウィンドウが使用できます。
次は、一般的なForm Builderウィンドウの例です。
ほとんどのWindows 95/NT Form Builderウィンドウと同じように、このウィンドウには次のものが含まれます。
「キャンバス」は、インタフェース項目が表示されるバックグラウンド・オブジェクトです。キャンバスには、次の4種類があります。
各ウィンドウで、1つ以上のキャンバスが表示される場合もあります。特定の条件を満たしていれば、状況によって、ウィンドウ内のキャンバスを表示できます。
次の項では、Form Builderで効果的なGUIを作成するための特定の推奨事項を示します。
フォームの開発で使用できる最も重要な標準化の手段は、オブジェクト・ライブラリでしょう。オブジェクト・ライブラリは、開発者が作成した一連のオブジェクトおよび標準です。各オブジェクトまたは標準によって、枠、ウィンドウまたは領域の全体の外観とレイアウトが決まります。オブジェクト・ライブラリ内にこれらのオブジェクトを常駐させると、開発プロジェクトまたはサイトのすべての開発者がそのオブジェクトを利用できるようになり、別の場所で作業をしている開発者でも、同じアプリケーションを作成できるようになります(つまり、共通のルック&フィールを使って同じアプリケーション内の別個のモジュールを作成できます)。サブクラスで使用すれば、オブジェクト・ライブラリ内のあるオブジェクトに対して加えられた変更内容が、そのオブジェクトが使用されるすべてのアプリケーションに確実に波及するようにできます。
オブジェクト・ライブラリの使用方針としては、標準の各論理グループに別のオブジェクト・ライブラリを作成するのが効果的です。たとえば、会社の標準に対してオブジェクト・ライブラリを1つ作成して社内で利用できるようにする場合、プロジェクトの特定のニーズ専用にオブジェクト・ライブラリを作成します。
Form Builderでは、専用のオブジェクト・ライブラリの作成を開始するために2種類のサンプルが用意されています。
オブジェクト・ライブラリを作成する前に、標準またはOracleアプリケーション・オブジェクト・ライブラリの内容を調べて、正しく動作するかどうか、または変更の必要があるかどうかをテストするとよいでしょう。
テストの対象 | 処置 |
---|---|
データ・ブロックの標準オブジェクト・ライブラリ内の項目 |
|
制御ブロックの標準オブジェクト・ライブラリ内の項目 |
|
標準オブジェクト・ライブラリ内の可視属性のみ |
|
Oracleアプリケーション・オブジェクト・ライブラリ内のオブジェクト |
|
標準オブジェクト・ライブラリを使用する場合、必ずVAGsタブの下にあるすべての属性をフォームの可視属性ノードにサブクラス化します。多数の標準がこれらの可視属性に基づいているため、可視属性を適用しないと正しく表示されません。可視属性をコピーしないでサブクラス化すると、常に確実に最新の定義にアクセスできます。
すべてあるいはほとんどのフォームで、特定の可視属性グループのセットを使用する予定であれば、標準オブジェクト・ライブラリからサブクラス化された可視属性がすでに含まれているテンプレート・フォームを作成します。レイアウト・ウィザードで入力を要求されたときに、このテンプレートに名前を付けることができます。
この項では、フォーム作成の一般的なガイドラインをいくつか示します。
例: アプリケーションに割込みを実行し、後で再開するといった単純な作業については、すべてのユーザーが自由に決められるようにする必要があります。ただし、会社が発行する請求書をユーザーが整理し直すことができるようにすると、会社の標準が無視される可能性があるため、望ましくありません。
ユーザーが制御する範囲は、ユーザーの経験のレベルによっても違ってきます。操作に習熟したユーザーと未経験のユーザーの両方を対象にアプリケーションを開発する場合には、必要に応じて段階的に操作方法の指示が得られるように、マニュアルに即したウィザードを組み込むことを検討してください。
カラー | 意味 |
---|---|
青 |
涼しい |
黒 |
利益(経済的) |
緑 |
進め、OK、危険(化学関係) |
赤 |
暑い、止まれ、危険、損失(経済的) |
黄 |
警告、注意 |
次の表には、キャンバス作成のための推奨事項が示されています。
次の表には、ウィンドウ作成のための推奨事項が示されています。
属性 | 推奨事項 |
---|---|
一般 |
|
タイトル |
|
位置 |
|
スクロールバー |
|
ツールバー |
|
標準オブジェクト・ライブラリ内のSTD_DIALOG_WINDOW_MODELESS
オブジェクトでは、位置決め、クローズ、サイズ変更および配置に関するすべての問題が対処されますが、ウィンドウには独自のタイトルを選択しなければなりません。選択するには、次のようにします。
例: 割当て(OR1) - [John Doe] 製品発注書(ABC) - [新規]
次の表には、領域作成のための推奨事項が示されています。
属性 | 推奨事項 |
---|---|
一般 |
|
タイトル |
次の表は、ある項目の他に別のフォームの項目を選択する場合に役立ちます。また、標準オブジェクト・ライブラリ内のオブジェクトまたは標準を変更する場合に、使用できるガイドラインを示します。項目は、アルファベット順に示します。
メッセージは、ウィンドウのコンソール領域内または「警告」と呼ばれるポップアップ・ウィンドウ内に表示されます。メッセージの表示方法は、メッセージのタイプおよびユーザーから応答を求められるかどうかによって異なります。次に提案事項を説明します。
できれば、エラー・メッセージも組み込みます。
次に、メッセージ・テキストのよい例と悪い例を示します。
メッセージ・テキストを書くときには、これらのガイドラインを遵守してください。
推奨事項 | 例 |
---|---|
能動態を使用します。 |
「これが行われる必要があります」という表現は避けて、「ただちにこれを行ってください」にしてください。 |
命令法を使用します。 |
「コミッション計画を入力できます」ではなく、「コミッション計画を入力してください」とします。 |
「することがあります」または「〜できるでしょう」のような類推表現ではなく、「〜できます」を使用します。 |
「印刷されたリリースは削除できないことがあります」ではなく、「印刷されたリリースは削除できません」とします。 |
できるだけ、実際のフィールド名に任せます。 |
フィールドのラベルが「販売組合員」である場合、「異なる販売員名を入力してください」というメッセージは使用しないでください。 |
コマンドおよびキーワードには、大文字を使用してください。 |
|
ユーモアは使用しないでください。 |
しくじりました! |
非難めいたメッセージを避けてください。ユーザー側に間違いがあったことを遠回しに言うような表現は使用しないようにします。問題の解決に関係がない場合には、ユーザーの間違いを指摘しないでください。 |
「値が選択されていません」ではなく、「値を選択してください」という表現を心がけてください。 |
指示が含まれたメッセージの場合は、「〜してください」などの丁寧語を使用します。 |
「値を選択しなさい」よりも、「値を選択してください」という表現を選びます。 |
ユーザーに対しては、「ユーザー」ではなく、「あなた」という呼び方をします。「わたし」、「彼」または「彼女」という呼称は使用しないでください。 |
「ユーザーは、モジュールをバックアップする必要があります」ではなく、「モジュールをバックアップしてください」という表現を心がけます。 |
エラーが発生したときに、状況判断ヘルプが利用できるように設定してください。 |
2.2.2.9.2項「オンライン・ヘルプのインプリメント」を参照してください。 |
この項では、2種類のオンライン・ヘルプの使用方法を説明します。
ツールチップ | ポップアップ・ヒントは、またはミクロヘルプとも呼ばれています。ユーザーがマウスを動かして画面上の項目の上に移ったときに表示されます。 |
オンライン・ヘルプ | 状況判断ヘルプと、ユーザーが関連項目にジャンプできるハイパーテキスト・リンクが含まれます。 |
項目には、「ツールチップ」と呼ばれるプロパティと「ツールチップ可視属性グループ」と呼ばれるものがあります。プロパティ・パレットの「ツールチップ」プロパティ・フィールドには、ポップアップで表示したいテキストを入力します。アプリケーション全体に一貫性を持たせるには、標準オブジェクト・ライブラリからSTD_TOOLTIP
可視属性を適用します。可視属性を適用しない場合は、ツールチップにはプラットフォーム固有のデフォルトが使用されます。
Form Builderでは、各フォームにデフォルト・メニューが用意されています。デフォルト・メニューには、問合せ、挿入および削除を含むすべての基本的なデータベース操作のコマンドが含まれています。アプリケーション固有の要件がデフォルト・メニューと合致しない場合、カスタム・メニューを手軽に作成できます(詳細は、Form Builderのオンライン・ヘルプの「メニューの作成」を参照してください)。メニューを作成するときは、次のことに注意してください。
Report Builderを使用して効果的なレポートを作成する場合、最初のステップは、効果的なフォームまたは図表を設計する場合と同じです。この項の残りの部分に進む前に、まだお読みでなければ、2.1.2項「ユーザー要件の定義」をお読みください。
次に、作成するレポートのためのユーザー要件を決定する場合に役立つ問題点をいくつか示します。
レポートの特定の検討事項を記述する前に、いくつかの基本的なレポートの概念を簡単に紹介します(Report Builderを使った事のある場合は、このセクションをとばしてください)。これらと他のレポートに関連したトピックの詳細は、Report Builderのオンライン・ヘルプまたはReports Developerクイック・ツアーの「Report Builder」の項、あるいはその両方を参照してください。
レポートを作成するときは、次の2つのアプリケーション・コンポーネントを使用して作業を行います。
この項では、PL/SQLライブラリの使用方法は扱っていません。このトピックの詳細は、Report Builderのオンライン・ヘルプを参照してください。
レポートによっては、レポート・ウィザード(レポートのタイプを選択し、データ・モデルおよびデータのレイアウトを定義する)や、レポート・エディタのライブ・プレビューア(レポートの詳細をチューニングする)を使用します。他のレポートでは、レポート・エディタの他のビューを使用します。
表示 | 使用目的 |
---|---|
データ・モデル・ビュー |
2つ以上の問合せを使用してレポートを作成する。 |
レイアウト・モデル・ビュー |
|
パラメータ・フォーム・ビュー |
ユーザーがレポートを実行する前にパラメータの値を指定できるダイアログを提示する。 |
この章では、視覚的効果の高いアプリケーションを作成する方法を説明するため、この項の残りの部分では、レイアウト・モデル・ビューで見られるテンプレート、オブジェクトおよび設定の使用方法を中心に説明します。
レポートの開発で使用できる最も重要な標準化の手段は、「テンプレート」でしょう。テンプレートは、レポート全体の外観を決めるボイラープレートおよびレイアウト設定の集合です。Report Builderにはいくつかのテンプレートが実装されていますが、独自のテンプレートを作成することもできます。会社またはグループのテンプレートを作成して、開発チーム全体でそれらを利用すれば、共通のルック&フィールを実現できます。テンプレートの作成方法の手順は、Report Builderのオンライン・ヘルプを参照してください。
レポート・エディタのレイアウト・ビューには、次のオブジェクトが含まれる場合があります。
アンカーを除き、レイアウト・オブジェクトには、オブジェクトがアクティブにされるたびに起動するPL/SQLブロックのようなフォーマット・トリガーを持つ場合があります。
レポートを設計するときには、レポート全体のサイズとその中に含まれる個々のオブジェクトのサイズがそれぞれ異なるために、印刷されたレポートのページ区切りに影響が出る場合があるので注意してください。次の問合せに基づいて作成されたレポートを検討します。
select ename, sal from emp where sal > 2000
このレポートのサイズは、複数の要素を基にして設定されています。
同じオブジェクトのインスタンスでも、サイズが異なる場合があります。たとえば、COMMENTSというデータベース内にVARCHAR2列があるとします。COMMENTSでは、1つのレコードに2つの文が含まれる場合があります。あるいは、10個の文が含まれることもあるでしょう。COMMENTS列に対応するレイアウト内のフィールドは、長さの異なる値を入れられるようにサイズ設定する必要があります。また、そのフィールドの周りにあるオブジェクトは、上書きされたり、レポート内に大きなギャップが生じないように、「プッシュ」または「プル」される必要があるでしょう。
Report Builderでは、レポート・エディタのレイアウト・ビューのさまざまなメカニズムによって、オブジェクトのサイズ設定および位置付けの方法を制御できます。これらのメカニズムの詳細は、次の項で説明します。
アンカーは、レポート・レイアウト内のオブジェクトを相互に関連付ける方法です。2つのオブジェクトをアンカーすると、一方のオブジェクトが親、他方のオブジェクトが子と見なされます。オブジェクト間で親子の関連を定義すると、アンカーによってレポート内のオブジェクトの階層が確立されます。Report Builderでは、このようなオブジェクトの階層に基づいて、相互に関連したオブジェクトの印刷方法、2つのオブジェクトを同じページに収めるかどうか、周囲のオブジェクトのサイズによってオブジェクトをプッシュまたはプルする方法が決定されます。
アンカーは、次の2通りの方法で作成できます。
「印刷オブジェクト・オン」プロパティでは、レポートに表示されるオブジェクトの頻度が決定されます。「基本印刷オン」プロパティでは、「印刷オブジェクト・オン」プロパティを基盤とするオブジェクトを指定します。
たとえば、全ページの「印刷オブジェクト・オン」および「アンカー・オブジェクト」の「基本印刷オン」を指定すると、オブジェクトは、アンカーしているオブジェクト(親オブジェクト)が表示されるすべての論理ページに印刷されるようにトリガーされます。レポート・ウィザードによって作成されたオブジェクトには、それぞれ専用に設定されたプロパティがあります。ほとんどの場合、Report Builderで選択される値は、そのオブジェクトに最適の値です。これらのプロパティを独自に設定する必要があるのは、Report Builderで設定されたデフォルト値を上書きしたい場合のみです。
「印刷オブジェクト・オン」プロパティを適用すると、Report Builderでは、オブジェクトの一部が印刷されている最初の論理ページがオブジェクトの第1ページとなるように配慮されます。同様に、最終ページは、オブジェクトの一部が印刷されている最後の論理ページになるように配慮されます。たとえば、「第1ページ」の「印刷オブジェクト・オン」と、「インクローズ・オブジェクト」の「基本印刷オン」を指定すると、その囲みオブジェクトが表示される最初の論理ページにオブジェクトが印刷されるようにトリガーされます。
注意:
詳細は、Report Builderのオンライン・ヘルプで、索引項目の「水平拡張度」および「垂直拡張度」を参照してください。
水平拡張度および垂直拡張度の各プロパティでは、複数のオブジェクトまたはデータを収めるオブジェクトの水平サイズと垂直サイズを実行時に変更する方法を指定します。
レポート・ウィザードによって作成されたオブジェクトには、それぞれ専用に設定されたプロパティがあります。ほとんどの場合、Report Builderで選択される値は、そのオブジェクトに最適の値です。これらのプロパティを独自に設定する必要があるのは、Report Builderで設定されたデフォルト値を上書きしたい場合のみです。
拡張度の設定を変えると、出力が予期しない結果になることがあります。たとえば、水平拡張度を可変として設定したオブジェクトを縮小すると、右揃えされたすべてのオブジェクトは、可変オブジェクトに暗黙にアンカーされているため、左側に移動してしまいます。
詳細は、Report Builderのオンライン・ヘルプで、「水平拡張度」および「垂直拡張度」を参照してください。
ワード・プロセッサで処理された文書とは違って、レポートとそれに含まれるオブジェクトは、実行時のサイズおよび位置が異なります。結果として、あるレポートの改ページは、予想しにくくなります。
詳細は、Report Builderのオンライン・ヘルプで、索引項目の「前で改ページ」および「後で改ページ」を参照してください。
オブジェクト全体とその内容を同じ論理ページに収めるには、「ページ保護」プロパティを使用します。オブジェクトの内容がページに収まらない場合は、次の論理ページに移されます。ただし、「ページ保護」に設定されたオブジェクトの下のすべてのオブジェクトが次のページに移動するとは限らないので注意してください。下にあるオブジェクトのいずれかがページに収まる場合は、「ページ保護」に設定されているオブジェクトの上に印刷されることがあります。
詳細は、Report Builderのオンライン・ヘルプで、索引項目の「ページ保護」を参照してください。
あるオブジェクトと同じ論理ページにアンカーされているオブジェクトを連動させるには、「アンカー・オブジェクトと連動」プロパティを使用します。オブジェクトまたはそれがアンカーしているオブジェクト、あるいはその両方が同じ論理ページに収まらない場合は、次の論理ページに移されます。
繰返し枠に対して「アンカー・オブジェクトと連動」を設定する場合は、繰返し枠の最初のインスタンスがアンカーされているオブジェクトと同じ論理ページに収められなければなりません。そうでないと、「アンカー・オブジェクトと連動」の条件を満たせません。繰返し枠以外の任意のレイアウト・オブジェクトに対して「アンカー・オブジェクトと連動」を「はい」に設定すると、アンカーしているオブジェクトと同じページにオブジェクト全体をフォーマットできます。
2つのオブジェクト間のアンカーは、明示的または暗黙のいずれかになります。したがって、「アンカー・オブジェクトと連動」を設定すると、2つのオブジェクト間にアンカーを明示的に作成した場合と同じ効果が得られます。
Graphics Builderを使用すると、フォームおよびレポートの両方に組み込む図表を作成できます。図表は、それ自体で1つのアプリケーションとすることもできますが、フォームやレポートに組み込むこともできます。
次の場合に、図表を使用できます。
グラフィックスを作成するときには、次のガイドラインに従ってください。
次の表は、最もよく使用される図表をインプリメントするためのガイドラインです。
|
Copyright © 2000 Oracle Corporation. All Rights Reserved. |
|